HOBIA NEWS No.303

目次
●  HOBIA第117回新年例会報告
●  関西バイオビジネスマッチング2014に参加して
●  新しくなった酪農学園大学 紹介 
  酪農学園大学・農食環境学群・食と健康学類 学類長 石下真人先生

●  お知らせ 地域バイオ育成推進講座in旭川開催のご案内
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●  HOBIA第117回新年例会報告

 今年の新年例会では、昨年4月にスタートした北海道の新制度「北海道食品機能性表示制度:ヘルシーDo」に関する演題が二題あった。まず北海道経済部 食関連産業室研究集積グループ 主査菅野則彦氏より「北海道食品機能性表示制度(ヘルシーDo)の概要」として、制度設立の背景や目的から、制度の特長、メリットが解説され、昨年8月に認定された第一回認定製品と初回認定に至るまでの経過が報告された。本制度は、北海道内で製造された加工食品に含まれる機能性素材について、ヒト介入試験が実施され査読のある論文誌に論文が掲載されていることを北海道庁が確認し、「健康でいられる体づくりに関する科学的研究がある」ことを認定する制度。制度施行後の反響は大きく全国ネットでのテレビも含め、報道も多く注目された。審査では論文の確認の他、申請された食品中にヒト介入試験で実施されたと同等の機能性素材が含まれることを、実際に機能性素材の含有量を測定することによって証明できるかどうか、北海道内製造という製造要件を満たしているかどうか、などがポイントとなる。

 続いて株式会社アミノアップ化学学術部学術開発室室長三浦健人氏より「ヘルシーDo認定製品の紹介~製品概要と科学的根拠」として、実際に第一回芽に認定された製品の中からAHCC(担子菌培養抽出物)とオリゴノール(ライチ果実由来低分子化ポリフェノール)を含有する製品の概要と認定に用いられた科学的根拠について紹介された。同社は第一回目にヘルシーDoで認定された製品12品目のうち10品目に機能性素材を提供しており、AHCC製品5製品、オリゴノール製品5品目が認定されている。AHCCでは、健常人にAHCCを1日細粒3.0gを投与した二重盲検プラセボコントロール試験で、末梢血中の樹状細胞数の増加を報告した論文(N. Terakawa et al., Nutrition and Cancer, 60(5):643-651 (2008))が用いられた。オリゴノールでは北海道情報大学の「江別モデル」で実施されたヒト介入試験で、健常人に一日あたり200mgのオリゴノールを70日間摂取してもらう二重盲検プラセボコントロール試験で、内臓脂肪が平均15%低減した成果を報告した論文(J. Nishihira et al., J. Functional Foods,1(4),341-348 (2009))と健常陸上選手の合宿期間中に一日あたり100mgのオリゴノールを摂取してもらう二重盲検プラセボコントロール試験で、強度の高い運動によって生じる炎症性のサイトカイン産生を抑え、回復系のサイトカイン産生を促す結果を報告した論文(Mikio Nishizawa et al., Phytotherapy Res., 25(5), (2011))がそれぞれ申請に用いられた。これらの論文が「健康でいられる体づくりに関する科学的研究」と認められ、論文に用いられたのと同等程度の機能性素材を含有した製品が認定された。ヘルシーDoでは機能性素材でヒト介入試験の論文があれば、製品で改めてヒト介入試験を行わなくても製品が認定されることから、すでに機能性が証明された素材を配合すれば、企業は開発コストを抑えて製品で認定を受けることが出来るのが特長だ。ALL北海道体制で素材の機能性研究から製品化までのコーディネートを行い、認定製品を継続的に市場に投入すること、サプリメントに限らず一般の食品形態で消費者が手に取りやすい製品を認定することで制度そのものの認知度を上げることが今後の課題となる。

●  関西バイオビジネスマッチング2014に参加して

 2011年より毎年開催され、第4回目を数えるNPO法人近畿バイオインダストリー振興会議主催のビジネスマッチング。全国各地から、創薬関連、機能性食品、化粧品などの分野で事業を展開している中小・バイオベンチャーが関西に集結し、大手・中堅企業とのアライアンス締結をサポートするマッチングである。

 今年は事務局の予想を上回る300名を越える参加者があり、例年よりも盛会な印象。北海道からは売り手企業としてナチュラルケア株式会社、株式会社ホクドー、株式会社アミノアップ化学が参加。今年は買い手企業としても株式会社アンビックス 小樽朝里クラッセホテルの参加があったのが特長。本ビジネスマッチングでは事前に商談が設定されるので効率的な商談が可能。取引情報のやり取りもマッチング前からやり取りが出来、当日はより内容の濃い商談が出来る。併催の展示会でも資料やサンプルの提供や、商談の継続も可能であった。特に大手、中堅の企業とは既に過去に商談している先等も多いが、一度商談してからその後のやり取りが途絶えているような相手に再会できたり、なかなか直接お会いしてお話が進められていない相手等と商談も設定でき、有効に活用できる場となっている。今後の商談の発展につながりそうな案件もそれぞれにあったようで、今後の関西地域とのバイオ産業のさらなる交流も期待される。

 展示ブースではアミノアップ化学で北海道食品機能性表示制度「ヘルシーDo」も紹介された。国の規制改革委員会答申の閣議決定を受けて、食品機能性表示の解禁に向けての議論が進む中、食品機能性表示は業界内での注目度は高く、国に先駆けて実現させた制度として評価も高い。個別の商談の中でも制度の概要や、認定の用件等についての質問も多くあった。

株式会社アミノアップ化学 学術部学術開発室 室長 三浦 健人

●  新しくなった酪農学園大学 紹介

 酪農学園は、「三愛主義」を建学の精神として80年の歴史を有し、建学の精神に基づく「健土健民」の教えを実践し、「生命を紡ぐ大学」として大地が生み出す命を未来へと繋ぎ、人類の福祉向上に貢献する担い手の養成とともに農業振興に貢献してきました。

 2011年度からは、建学の精神、理念を受け継ぎながら、酪農学園大学は新組織、新カリキュラムでスタートしました。新しい教育は、「農・食・環境・生命」を基軸に自然との調和の取れた循環農業の維持・発展を図り、人と動物の生命の存続と福祉に貢献し、かつ世界的活動に参加する人材を育てることを、これまで以上に推進することを目的にしております。すなわち世界の変化に主体的に対応し、課題を見極め、課題解決に対し幅広く、柔軟かつ総合的な判断力を持った担い手を育て、農業にかかわる複合的問題を解決する能力を持ち、多角度から物事を観察する能力や総合的思考力、的確な判断力、かつ豊かな人間性を持った人材を輩出することであります。

 これまでの学部、学科体制から学群、学類へと変わり、3学部(酪農学部、環境システム学部、獣医学部)は2学群(農食環境学群と獣医学群)に、農食環境学群には3学類(循環農学類、食と健康学類と環境共生学類)さらに獣医学群には2学類(獣医学類と新設された獣医保健看護学類)が設置されました。

著者が所属する農食環境学群は、その名の通り農・食・環境をテーマにしており、『循環農学類』、『食と健康学類』および『環境共生学類』の3つの学類で構成されています。『循環農学類』には、酪農や畜産、農産物、農業経済を学ぶ4つのコース、『食と健康学類』には、食品の持つ栄養や機能、食品開発、流通を学ぶ3つのコースに加えて、1年次から一貫教育の管理栄養士コースの全4コースが設けられ、さらにこの2学類の学生を対象に農業科教員を養成するための実践的教育を行う教職コースが設置されています。「環境共生学類」には、野生動物、生命環境について学ぶ2つのコースがあり、これら3学類の枠を超えて、興味ある科目を履修することもできる柔軟な教育システムが特徴の一つです。

 学士課程教育では、農業を総合科学として学ぶための横断的教育を含む教育体制となっており、初年次の酪農学園教育は、新入生全員がキリストの教えと建学の精神を学ぶとともに、農場実習を通して「家畜に触れ、作物を知り、土の役割を理解する」共通認識を修得します。いわば酪農学園大学独自の教養教育です。学生は、この酪農学園教養教育を修得するところから始まり、専門基礎教育を経て専門教育課程へと進みます。専門教育においては各学群の教育方針に基づき、卒業と同時に広い視野を持ち、優れた実践力を持つ専門家を養成するカリキュラムがそれぞれに設定されています。

 新入生は「農食環境学群」、「獣医学群」ともに、1年次に農・食・生命についての知識と経験を養う農場実習があり、キャンパス内で実際に作物を育てて収穫する畑作物栽培実習や、インテリジェント牛舎などでの酪農体験を通して、農・食・環境・生命についての知識と経験を養う授業も特色のひとつです。

また農場実習の一環として食と健康学類プログラムではバター作りなども行っています。さらに9月には自分たちが育てた作物を食べる収穫感謝祭も行われます。


 酪農学園大学で初めて土や牛に触れるという人もいるでしょう。それはきっと、他ではなかなか味わえない貴重な体験に違いありません。さらに「農食環境学群」では2年次の専門基礎教育を受けながら、自分の興味や関心、可能性について時間をかけて考えた後に、学類内でどのコースに進むかを決めることができます。

 食と健康学類には、食品の機能、開発・製造と流通の専門家ならびに管理栄養士の養成を目的として、食品機能科学コース、食品開発コース、食品流通コースおよび管理栄養士コースの4コースを設置しております。いずれのコースにおいても基盤教育や専門基礎教育で基本となる科目を習得した後、それぞれの専門教育により知識を深めます。本学の教育理念である実学教育を具現化するために、実験・実習を多く取り入れたカリキュラムが組まれ、食の生産、加工・製造、流通ならびに健康などに関する幅広い知識を習得することにより、総合的な判断力を備えた人材を育成します。また入学直後の農場実習では畑で作物を育て管理します。このような食の原点である土から食、さらには健康までを学ぶことができるのは、立地と環境に恵まれた本学ならではの特徴です。

酪農学園大学・農食環境学群・食と健康学類 学類長 石下真人

●  お知らせ 地域バイオ育成推進講座in旭川開催のご案内

 開催日時:平成26年3月27日(木)13:30~16:00
 開催場所:花月会館(旭川市3条7丁目)
 参加費:無料
 内容:「異物混入防止技術の最前線」
  13:30~13:35 主催者挨拶

  13:35~14:35 講 演 ① テーマ : 「食品等の異物検査」
講師:一般財団法人日本食品分析センター 千歳研究所 総務課 課長 村 上 雅 彦 氏

概要:『食の安全・安心』に関する消費者の意識は依然として高く,社会的に重要なキーワードとなっています。そのような中,食品等の製品中に異物が混入しているという消費者からの申し出は多くなっています。異物混入が発生した際,その発生原因を追究するためには,異物検査による異物の同定・推定が重要なアプローチの一つと考えられます。そこで本講演では,異物検査の一般的な分析手法についてご紹介致します。

  14:35~14:45 休憩

  14:45~15:45 講 演 ② テーマ: 「簡単!異物混入対策品のご紹介」
講師:アズワン株式会社 サニーフーズグループ 主事 味 波 洋 氏

概要:異物混入が発生した場合、発生原因を追及した後は、今後、異物混入をどう防止するかが重要です。そこで本講演では食品工場用衛生管理カタログ「サニーフーズ」を利用することで、基本的なブラシ・手袋等製造現場で活用できる製品を中心に、一部微生物検査に係る部分まで、異物混入防止技術をご紹介させていただきます。安価なアイデア製品・流行製品など、今日からでも簡単に!異物混入対策を行っていきましょう。

・主  催 地域バイオ育成推進講座実行委員会
 (NPO法人北海道バイオ産業振興協会、旭川市、旭川バイオ産業振興会)
・参 加 者 50名程度(先着順)
・申込方法  
 別添申込書により3月21日(金)まで、FAXまたはE-mailでお申し込み下さい。

HOBIAのホームページ http://www.hobia.jp
NPO法人 北海道バイオ産業振興協会
札幌市北区北21条西12丁目コラボ北海道内
Tel&Fax(011)706-1331
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